第四話 雪椿 Yukitsubaki

 
 
 
 
 
 
 
 

 助世富は逃げるようにして自室へ戻った。部屋中の襖を閉めて椎坐の部屋から一番遠い壁に背中を預けてうずくまる。熱い。身体中が熱く脈打っている。助世富は身体を抱きしめて熱が過ぎ去るのを待った。しかしこの身体の肉はありありと熱の在処を見せつける。
 甘い肌の匂い。欲に染まり、無防備に解けた唇。愛撫に応える素直な雄の蕾。そして若鳥が鳴くかのような艶めいた声色。
 目を閉じ、耳を閉じ、気を逸らそうとしても、全てが鮮明によみがえる。助世富は堪らなくなって自らの男根に手を伸ばした。
「…ふ、ぅ……んぁ…」
 屋敷は静まり返り、夜の闇が立ち込めている。椎坐の部屋はすぐ近くだ。助世富は叫びたくなるような気持ちを押し殺しながら、ひそむように自慰に手を染めた。
「…椎、坐……しい、ざぁ……」
 声をひそめながら愛しい人の名を何度も呼ぶ。
 自分で慰める時、いつから椎坐の姿を想像するようになったのだろう。遊女屋で何度か女を抱いた頃、助世富はどこかもの寂しく満たされない空虚さを感じるようになった。ただ何かに必死だった。それは罪悪感にも似ていた。射精をするためだけに見知らぬ女の身体を抱きしめる。その繰り返しは空虚さをただ大きくするばかりだった。
 助世富の心にはいつも椎坐がいた。剣を振るう時も、馬を走らせる時も、それは女を抱いている時も変わらなかった。助世富はある日、目を閉じて椎坐のことを考え始めた。柔らかい肉の感触、甘い喘ぎ声、花の香り。女のそれらを感じながら椎坐のことを想像する。すると今までにないほどの深い喜びが腹の底から沸き起こり、がむしゃらに女を抱いていた。それから女を抱くたびに椎坐を想像するようになった。

 ずっと椎坐に触れたかった。椎坐は交わる時どんな顔で、どんな声を出すのだろう。椎坐と目が合うと、時々そんなことを考えた。

 椎坐は沸き起こる感情の全てを忠義という言葉に押し込めてしまう。そして絶対的な信頼と清らかさで優しく眼差す。助世富の慕情にも、欲望にも気付かずに。

 そして助世富の駆け引きは恐ろしいほどに成功してしまった。
 椎坐の心の隙に付け入り、彼の身体に触れ、欲望を引きずり出した。椎坐は拒むどころか、全てをさらけ出すことも厭わなかった。彼の身体には女性のものはついていなかったが、その顔と同じように綺麗な陰茎と、無防備な穴があった。きっと普通、どんな男もそんな場所を見せたり触らせたりしないだろう。それなのに彼はそんな繊細な場所に触れることを簡単に許したのだ。

 助世富の身体は熱かった。興奮と喜びの陰に後悔と惨めさを見つけた。椎坐はきっと自分を受け入れてしまう。それほど自分を信用している。その罪深いほど純粋な愛情に、助世富はただ息を詰まらせることしか出来なかった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

第4話 雪椿

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 喜三太が死んでから一週間が過ぎた頃。葬儀を終え、屋敷や町はいつもの喧騒を取り戻し始めていた。秋の彩りは彼の死を悼むかのように地に伏し、木々は灰色の肌を青空の下に晒している。時折、朝の庭に霜が降りるようになった。
 季節は確実に冬を差していた。冬が訪れるたびに助世富は昔のことを思い出す。冬は椎坐に出会った季節だからだ。自室で書付に目を通しながら、かじかむ足先をこすっていると、襖の向こうに親しい人の気配を感じた。

「助世富、ちょっといいか? 相談があるんだ……」
 主に控えめに呼ばれ、助世富は背筋をぴりりと正した。
「うん。今行く。部屋で待ってて」
 そう答えると主の気配はすんなりと書斎の方へと消えて行った。椎坐はあまり個人空間を侵さない。喜三太の背中を見て育った椎坐は小姓には小姓の仕事があると一定の尊重を持っているのだ。助世富はやりかけの仕事をすぐに片付けてから椎坐の部屋へ向かった。書斎の廊下脇で正座をすると、呼びかける前に椎坐が襖を開けた。

「仮面のことなんだ。出処が分かった」

 椎坐は真剣な面持ちだった。助世富はすぐに部屋に入り襖を閉めた。
「どこだ?」
「加賀国だ」
「加賀国?」
 助世富は思わず眉を潜めた。
「……ああ。お前の故郷だ」
「 “元” 故郷な。今じゃもう、あそこでは罪人扱いさ」
 助世富は皮肉めいた笑みを浮かべた。
「それで。どうするんだ?」
 助世富の問いかけに椎坐は息をひそめた。
「……宝物庫の帳簿を洗ったんだ。祖父の代まで遡るのに少々骨が折れたが、仮面を売った商人の孫が今も骨董屋を営んでいるらしい。俺はこいつに直接、仮面について聞き出そうと思う」
「そいつが何か知ってるとも限らないんじゃないか?」
「……それでも、他に当てがない」
 その言葉に助世富はしばし黙った。
「喜三太の周辺も洗った。しかし彼を不審がる人間は誰もいなかった。おそらく喜三太はこの屋敷、あるいはこの町の外で仮面の噂を聞いたんだ」
 椎坐は話しながら、助世富の心中を察した。
「…助世富は……あまり、あの藩には近づきたくはないだろう? だから留守を頼もうと思っている」
「護衛は?」
「他の家臣にさせればいいさ」
「……そんなのダメだ。俺が行く」
「でも加賀だぞ?」
「構わない。俺は椎坐と一緒に行く。他のやつに護衛をさせて、椎坐に何かあったらたまったもんじゃない」
 助世富はいつもの自信を瞳の奥に浮かべた。

「俺以上の護衛がこの町にいるか?」

 椎坐は少し驚いた顔を浮かべたが、納得したように深く頷いた。

「分かった。いつも通りに頼むよ」

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

追憶 其の一 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

————— お坊ちゃま。助徐坊ちゃま!

 そう呼ばれるのがずっと嫌だった。周りにそんな呼び方をされている奴はいなかったし、あの甘ったるい乳母の声も嫌だった。俺は歳の割に身体が小さかったこともあり、周囲の人間に「やあやあ坊ちゃまぁ!やあ坊っちゃま!」と馬鹿にされたりして、兎にも角にも、俺はいつも自分を呼ぶ声から逃げ回っていた。

 俺の家系は吸血鬼の討伐を専門にする波紋使いの名門だった。生まれてくる子どもの八割以上が波紋使いという強い血統で、全国の豪族から護衛役として重宝されていた。お陰様で生活は悪くない。もちろん幕府やそれ直属の侍と比べたら質素な暮らしぶりだったが、一族のほとんどが今のこの生活に満足していた。
 俺の家は加賀国藩主の城下町にあった。曽祖父の代が築いた藩主からの信頼を引き継ぎ、代々護衛の任についている。しかし父親も母親も行方知れずで、家族は祖母と乳母の二人だけだった。つまりこの家において俺は十二歳にも関わらず、当主でもあったわけだ。
 
「助徐坊っちゃま!」

 乳母は諦めが悪い。俺はじっと草陰に身を潜めた。どうせ捕まれば書の勉強だ。今日は絶対に捕まってやるものか!そんな調子でいつも逃げ回り遊び歩いていたので、俺の素行は悪かった。乳母は女にしては珍しく、父や祖父から馬術や剣術、学問を教えられていた。祖母も武家の女であり、きちんとした素養を持っている人だった。しかし男としての生き方、武士としての生き方の手本とするのは難しかった。父も兄弟もいない俺は、主君に使える武士としての心得など知らないまま、裸足で野山を駆け回っていたのだ。

 しかしそんな日々はそう長くは続かなかった。今思えば、祖母や乳母と過ごしたあのささやかな日々は退屈でありながら平和そのものだったのかもしれない。
 ある日、藩主の家臣たちが家に押し入ってきた。それは酷く乱暴なもので、抵抗する乳母を殴って地面に斬り捨てた。祖母は何かを悟ったかのように静かだった。その姿は俺が見たどんな武士よりも武士らしく見えた。俺はそれに倣って冷たい地面に黙って座った。そして、家臣達から告げられた言葉は “上星譲治が謀反の罪を犯した” というものだった。
 ずっと行方知れずだった父親が生きていたのだ!そしてあろうことか主人に刃を向けた。その罪で上星家は一気に信用を失った。全国に散っていた一族がどのような仕打ちを受けたかまでは知らない。少なくともこの加賀国で俺は裏切り者の名を背負うことになった。
 父が憎かった。名誉を背負って死んでいたと思っていたのに、何年も隠れて生きながらえ、そして家族を失墜させたのだ。

 謀反の罪を負った家族は流刑となった。罪を背負った武士は腕に焼印を押され、刀を取り上げられ、犬のように扱われる。それは生まれて初めて感じる深い屈辱だった。俺と祖母は近隣の島に流されたが、途中で嵐に遭い船は難破してしまった。未だにあれから祖母には会えていない。目を覚ますと見知らぬ島に流れ着いていた。冬の海は凍てつくほどに冷たく、体はすっかり熱を失っていたが、まだ生きている。無意識のうちに波紋の呼吸をしていたのだろう。波紋使いはなかなか死ぬことすらできない。まるで吸血鬼みたいにしぶとく生にしがみつく。この生まれながらの呪いを俺は恨んだ。

 どれくらいの日が経っているのか、ここがどこなのか、何もかもが分からなかった。しかし全てがどうでもよかった。ただ思った以上に海は美しく、空の色は柔らかだ。俺はそのまま雪の積もった砂浜を歩き続けた。北風には雪が混じり、耳が引きちぎれそうなほど痛くて、草履から覗く足先からは血が滲んでいる。行く当てははなかったが、俺はただただ海岸線を歩き続けた。
 しばらくすると小さな港が見えてきた。まだ凍結はしていないが、人の姿はなかった。俺は港の隅にある小さな蔵に忍び込んだ。磯の生ぬるい匂いが鼻をつき、歩くたびに眠たそうなフナムシが蠢く。それ以外は何もない。俺はひとまずここで寒さを凌ぐことにした。すっかり海風で傷んでしまった建て付けは歪み、冷たい潮風が隙間から入り込んでくる。時々ピィピィと鳴る、笛のような風音が泣き声みたいに聞こえた。俺はそれを子守唄に、少しの間眠った。

 夜、白い月明かりで目が覚めた。天井には立派な穴が空いていて、丸い月が俺をじっと見下ろしている。それは美しい煎餅みたいだった。俺の腹の虫は月すら食ってしまいそうなほどにすっかり飢えていた。
 俺は蔵からそっと周囲の様子を伺った。すると港のすぐ近くに灯が見えた。ほんのりと魚の焼ける匂いもする。俺は何か食べ物を分けて貰えないかと思いその灯に近づいた。そこでは一人の男が焚き火をしていて、俺に気が付くとにこやかに笑いかけた。
「どうした小僧。迷子か?」
 俺は焚き火の傍にある焼けた魚をじっと凝視した。
「なんだ。腹が減ってるのか」
 そう言うなり、男は魚を差し出した。
「ほら食え。名前は?」
「……助徐」
 俺は無我夢中で魚に食らいついた。その食いっぷりに男は呆れたように笑った。
「そうか。そんなに腹が減ってたか。ほらこれも飲め。温まるぞ」
 男は酒瓶を差し出し俺に勧めた。俺はそれを受け取り煽るように飲んだ。喉がカァと熱くなり、体がふわりと温かくなってくる。俺は男に言われるがまま魚を食い、酒を飲んでいるうちにいつの間にか眠ってしまった。

 その明朝だろうか。俺は寒気がして目が覚めた。酒のせいか意識はぼんやりとしている。目を開けると自分の上に人影が見えた。思わず飛び起きると、昨夜の男が自分のことを見下ろしていた。
「ああ助徐、お目覚めかい?」
 男はにっこりと笑顔を浮かべていたが、その指先は俺の胸の辺りを気味悪く撫で回している。
「なに、して……」
 よく見ると俺は着物を着ていなかった。俺は慌てて起きあがろうとするが、男の指先が性器をぐりぐりと弄るものだから腰の力が抜けてしまう。
「んっ、あ!」
「可愛い助徐。大丈夫。すぐによくなるよ」
 しゃがれた声で言われ、俺の頭は恐怖と嫌悪感でいっぱいだった。それなのに性器はむくむくと大きくなっていく。俺は混乱して手足をばたつかせた。
「やだ!やめろ!」
「ダメだよ助徐。助てあげたんだから、なぁ?」
 男はおもむろに腰帯をほどき、自身の性器を俺の前に晒した。恐ろしいほど立ち上がった肉の塊に俺は自分の状況を一瞬で察した。恐怖のあまり目の前の腹を蹴り上げると、その男は低く呻き、苛立って俺の顔を二度殴った。皮膚の下でじんわりと血が滲んだ気がする。頭に広がる鈍い痛みに、世界がぐらりと揺れた。
「あまり手を煩わせないでくれるかな」
 男は低い声で獣のように睨んだ。そして俺の足を掴んで身体を押さえ込むなり、そそり立った男根を押し付けた。あまりの気持ち悪さに俺は必死に足掻くが、男は興奮気味に口角を上げるだけだった。尻のあたりに固いものがねじ込まれ、俺は思わず悲鳴を上げる。すると「うるさい」ともう二発ほど乱暴に殴られ、俺は固く唇を噛んだ。
 俺は心の底から絶望した。全てが真っ白に虚無だった。目の前の男を殺したい。雪原に咲く一輪の花のごとく、その殺意だけが虚無の中で鮮やかに存在していた。俺は鮮明な殺意を込めて、男の顔に拳を突き出した。すると拳から鋭利な波紋の渦が放たれ、男は後ろに吹っ飛び、蔵の壁を派手に壊した。
 俺は脱ぎ散らかっていた着物を羽織って砂を蹴った。しかし足がもつれその場に倒れ込む。酒のせいか、先ほど殴られたせいか、まだ頭がフラフラして定まらない。俺は地面を這いながら蔵から離れた。遠くで男の呻き声が聞こえる。俺は焚き火の傍に落ちていた魚包丁を手に取り、なんとか立ち上がった。男は壁にぶつかりながら鬼のような形相で追いかけてくる。

「来るな!来たら殺す!」
 俺が叫びながら包丁を向けると、男は楽しそうな笑顔を浮かべた。
「助徐。君には殺せないよ。いい子だから。そんな危ないものは捨てなさい」
「お、俺は本気だ!来るな!」
 男は頭から血を流していた。その血は歩くたび、一滴一滴、まるで花びらみたいに雪を赤く染めた。
「……く、来るな…… 来る、な……」
 俺は包丁を向け続けた。指先がブルブルと震えている。男は一歩、また一歩と近づいてくる。

 俺は必死だった。俺にはもう失うものは何もなかった。家族も、武士としての誇りも、使命も、希望も、何もかもがなかった。それなのになぜこんなにも必死に生きようとしてるのか。東の空が薄っすらと明るくなり始めている。それだけのことが、俺の心にほんの少しの喜びを与えてくれた。
 俺は波紋の呼吸に集中した。生きようとするエネルギーが確かにここにある。俺は静寂の中で波紋に身を委ねた。次の瞬間、男が飛びかかってくるのが見えた。それは随分とゆっくりとした動きに思える。全感覚が世界と一体となっているようだった。俺は一歩後方に飛んだ後、踏み込み、男の首筋に一線を描いた。
 首は落ちなかった。刀ほどの切れ味はない。しかし首に描かれた真っ赤な直線は純白の世界を鮮やかに目覚めさせた。
 息を呑むほどに美しい、満開の花びらが辺り一面に赤く舞い散った。

 俺は包丁を握ったまま雪道を歩いていた。刃から赤い雫が落ちるたびに俺の心は喜びに震えた。一滴の赤が、白銀の世界に紅の花を咲かせる。それはあえなく儚く散り、道となり、風となった。そして俺はいずれ歩けなくなった。かじかんだ足が霜に焼けて熱い。俺はいよいよ雪の上に伏した。あんなに生きようと必死だったのに、今となってはこのまま死んでもいいと思えるくらいに心が満たされている。俺は安堵し、そっと瞼を閉じた。

 
 
 
 
 
 
 
 

 それから何があったのか、俺の記憶は残っていない。
 目を覚ますと、暖かい寝具の中にいた。質の良い畳の香り。遠くの方から、屋敷を行き交う人々の足音がコトコトと響いてくる。その全ては安心に満たされていた。天井をぼんやりと眺めていると、ふと視界に人影が見えた。疲れていた俺は視線だけでその人影を追った。

「あ」

 目が合うと、その人影は小さな声をあげて引っ込んだ。そしてまたゆっくりと覗き込んで来る。
「大丈夫か?」
 俺を見つめるその顔は、今まで見てきたどんな生き物より美しいものだった。翡翠色の澄んだ瞳、朝日のように美しい不思議な色の髪。そして目尻には三角形の小さな痣があった。
「狐?」
 思わずそう言うと、その顔は眉を潜めて柔らかく笑った。
「俺が狐に見える? もっとよく見てみろよ」
 俺は布団から身体を起こし、その狐を見つめた。世界で一番美しいと思った狐は、十五歳ほどの青年で、藍色の綺麗な着物を羽織り、腰には刀を差していた。
「侍か」
「よかった。ちゃんと分かるみたいだな」
「うん。それで…… あれは…… なんの花だ?」
 俺は青年の後ろにある床の間を指差した。
「雪椿さ。この辺じゃちょっと珍しい花なんだ。綺麗だろ」
 青年は花を見つめながら愛おしげに微笑んだ。俺はその美しい横顔と、鮮やかな赤い蕾をじっと見つめた。

「ここは…… 綺麗な場所だな」

 俺は目に映る全てを美しいと思った。天国があるのならきっとこんな風景に違いない。
「春はもっと美しいぞ。ここは佐州、杖部利家の屋敷だ。分かるか?」
「……う、ん…………」
 俺は曖昧に答えた。言っていることは分かるが聞き覚えない名前だったからだ。
「……大丈夫。ここでは誰もお前を傷つけたりしない。父上と医者を呼んでくるから、そこで休んでな」
 そう言うなり、青年は部屋から出て行った。

 これが椎坐との初めての出会いである。しかしこの時はまだ、彼が椎坐だとは知らなかった。
 そしてその後しばしの間、彼と会うことはなかった。再び彼と再会し、小姓として杖部利に仕えるようになるのはもう少し後の話である。 

 
 
 
 
 
 
 
 
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