第九話 竜胆 Rindo

 
 
 
 

 —————後悔しないように生きてきた。椎坐を守ること。それさえ出来れば後悔するはずはないと信じていた。それ以外にするべきことなんてない。だから椎坐と共に旅に出て、今もここにいる。
 椎坐を守った。彼は生きている。それなのにどうしてこんなにも後悔しているのだろう。何かを間違ったのだろうか? 一体どこから間違ったのだろうか?

 助世富は今、嵐の海に消えゆく雨粒のように、灰色の後悔に溺れていた。椎坐は直江津の港に着くまで口を開くことはなかった。助世富はその虚ろな背中をじっと見つめることしか出来ず、その灰色の窓の向こうで自分の存在を思い出してくれることを待ち続けた。

 小滝の村が焼け、朝の太陽が登り始めた頃。助世富は村人の亡骸が朝日と共に消えていくのを眺めた。死体となった二人の武士も、着物と刀を残して跡形もなく消えていった。亡骸の中に、石仮面を着けている者がいる。おそらく仮面の武士たちに被せられたのだろう。一人の村人が吸血鬼になれば、村はあっという間に滅んでしまう。石仮面は間違いなく吸血鬼の元凶だった。

「仮面さえなければ…… 椎坐は悲しまなかった」

 助世富は歯を食いしばった。仮面や仮面に群がる人間の愚かさが憎かった。助世富は思わずその仮面を刀で斬りつけた。剣先は弾かれ小さな破片が散った。今度は波紋を練り、額に向かって鋭く突いた。すると石の仮面は額からひび割れ、真っ二つに砕けた。

 しばらくすると、高田から警護の侍が駆けつけた。いつもなら椎坐が侍と話をするが、この時ばかりは助世富が惨状を伝えた。しかし見知らぬ人間と話すことに慣れていない助世富は、どういうわけか喧嘩腰になってしまい、彼らとの話は長引いた。助世富はいかに椎坐に甘えていたのかを痛感せずにはいられなかった。
 小滝の村を後にした二人は、やたらと明るい沈黙の野山を馬で歩いた。助世富は椎坐に寄り添いたかった。その儚げな背中を抱きしめて、凍てついた心を温めて、いつもの椎坐に戻ることを想像した。しかしどのような言葉をかければいいのか、何をすればいいのか分からぬまま、結局、椎坐が振り返るのを願うことしか出来なかった。

 白い太陽が頭上に登る頃、直江津の港に着いた。港には冷たい潮風が吹きつけ、佐州へ戻る船の帆が静かに揺れている。船着き場に着いた椎坐はただじっと海の彼方を見つめていた。凍てつくような潮風に晒されてもなお、彼の背筋は馬上で高く、真っ直ぐだった。助世富はその背中を前に、ただ黙って海の先を見つめた。しばらくすると、椎坐は馬を降りて振り返り、少し腫れぼったい目尻を細めて微笑んだ。

「……迷惑をかけたな」
 椎坐の声は小さかった。
「……高田の武士とは俺が話をするべきだった」
 その言葉に助世富は首を横に振った。
「……もう、大丈夫だ」
 その言葉は、まるで自分に言い聞かせるかのように淡々としている。だが助世富はその言葉の裏に深くうがたれた痛みを感じた。助世富は再び言葉を探す。カンゾウの黄色い花たちを掻き分ける。しかし答えらしきものには辿り着くことは出来なかった。
「……今から、港を封鎖しようと思う。佐州へ渡る船に制限を駆ける」
 椎坐は再び水平線を見つめた。
「あいつらは仮面を追っていた。再び仮面を奪いに、佐州へ奇襲をかけてもおかしくない。俺は二度と小滝村のような失態はしない。もう誰も失わない。何があろうと、佐州を守る」
 椎坐の瞳は未来だけを見つめようとしていた。

「……手伝ってくれるか?」

 その言葉に、返すべき言葉だけは明快だった。

「もちろんさ」

 助世富はいつまでも、椎坐だけを見つめていた。

 
 

 椎坐は直江津の港を封鎖する命令を出し、佐州へ渡る船を出す近隣の港にも伝令を送った。しかしその伝令か伝わるのも数日はかかる上に、遠方からの船に指示を伝えるのは難しい。あくまで足止め程度にしかならないだろう。一週間、早ければ5日もすればどこかの港に船が辿り着く可能性は高かった。
 帰りの船の中、二人は地図を広げ、佐州の町とその周囲にある要所を一つ一つ確認していった。港、街道、村落、監視塔、見張り台。すべての拠点を洗い出し、仮面の武士が再び現れた場合の対応を話し合った。
 佐州の屋敷に戻った二人はすぐさま家臣たちを集め、大広間に居並ばせた。帰還して休む間もなく家臣を召集する藩主の姿に、誰もが不穏な空気を感じていた。椎坐は彼らをたしなめることなく、真剣な面持ちを崩さなかった。
 椎坐はまず、静かに結論を言った。
「皆に伝えておく。小滝村は滅んだ」
 一瞬にして、場に緊張が走る。
「村を襲ったのは “仮面の武士” だ。奴らは人を吸血鬼に変える仮面を所持していた」
 椎坐は懐から石の仮面を取り出して見せた。その異様な形相に家臣たちはざわめいたが、椎坐はそのまま仮面のこと、小滝村のことを全て包み隠さず話した。家臣の間に動揺はあったが、椎坐の真摯な言葉に皆が耳を傾けている。
「一枚の仮面で村が滅ぶ。そしてこの仮面を悪用する武士がいることが分かった」
 椎坐は家臣をたしなめるように言った後、助世富を振り返った。
「……助世富。お前が見たことを皆に聞かせてくれないか?」
「…おれ、が?」
 助世富は動揺した。
「ああ、お前の口から伝えてくれ」
「で、でも……」
 反論しようと椎坐を見つめるが、その翡翠の瞳は信頼と確信に満ちていた。まるで不安のない視線に助世富の心は後押しされる。椎坐が頷くと、家臣たちが一斉に助世富を見た。その無言の視線に助世富は思わず俯く。畳の目がゾロリと並ぶ殺風景の片隅に、椎坐の波紋が木漏れ日のように揺れている。助世富は深呼吸をしてからゆっくりと口を開いた。 

「……仮面の武士、彼らは、朝日と共に灰になりました……」

 助世富は丁寧に言葉を選びながら、頭に浮かんでくる事実を並べた。一同は息を呑んだ。その気配に一瞬唇が震えるが、すぐ側で見守る椎坐を信じて、助世富は言葉を紡ぎ続けた。
「……それでいて、彼らは波紋の型を極めていました。そして我々と同じように、会話をし、共闘し、明確な意思を持って行動していました」
 助世富は顔を上げ、家臣たちをまっすぐに見渡した。
「……仮面の武士はおそらく、仮面の力を得て吸血鬼になった、波紋の武士だと思います……」
 静まっていた広間に家臣たちのざわめきが走る。しかし助世富は冷静に続けた。
「ご存知の通り、通常、吸血鬼は意思を持たない。しかし鍛錬をした波紋の武士が吸血鬼になると、自我を保ったまま吸血鬼の力を手に入れるようです。つまり、自我と強靭な肉体と異常な回復力を持った “吸血鬼の武士” が誕生します」
「そんな相手!どうやって戦えばいいんだ!」
 一人の家臣が声をあげる。しかし助世富は冷静だった。
「彼らは吸血鬼がゆえ、波紋を練ることができない。波紋の練れない波紋の武士ならばまだ勝算はあります」
 助世富の言葉に椎坐は頷いた。
「実際に助世富は、彼らを討ち倒した。戦い方は心得ている。お前たちは助世富に習い、敵が佐州に攻め入る前に技を磨け」
 椎坐は堂々とした態度で家臣に言い放った。家臣たちはその言葉に深々と頭を下げ、顔をあげる頃には皆が助世富を頼みとする眼差しを向けていた。

「上出来だ」
 家臣たちが広間から去り、二人きりになると椎坐は満足げに言った。
「別に、思ったことを言っただけだ」
「いや、お前はあの戦いで事実を見極めたんだ。お前には判断力も剣術もある。この戦いが終わったらお前は……」
「その話は、全て終わってからしようぜ」
 助世富は拒むようにして言った。
「それも、そうだな……」
 椎坐は名残惜しそうに言葉を慎んだ。
「明日から助世富は家臣たちに刀の稽古をつけてくれ。仮面の武士たちが攻めてきたら戦えるように。皆で町を守るんだ」
「もちろんさ」
「俺は策を練る。だが町の者にも……全てを話そうと思う」
「混乱するんじゃねぇか?」
「するかもしれない。それでも、何も知らないと自分の身も守れない。俺は彼らを信じる。事実を知り、自分で考え、行動できると」
 椎坐の声には信念があった。

「俺はもう誰も死なせない。佐州を守り、仮面の武士を討つ。必ずだ」

 翌朝。椎坐は町の寄合に人々を集めた。椎坐は有言実行に町の者に石仮面のことを伝えた。町の人間たちは思った以上に取り乱すこともなく、椎坐の話に耳を傾けていた。小さな佐州の島で杖部利家がいかに強固な人徳を築いてきたのかを、助世富は深く理解した。
 佐州が戦に向けて動き出す。武士も百姓も一丸となって町の備えを強化していく。誰一人として失いたくないという椎坐の願いを胸に、小さな島は一丸になろうとしていた。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

第九話 竜胆 Rindo

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 佐州の町が備えを始めて三日が過ぎた頃。助世富は冬の陽が傾きかけた波止場を歩いていた。港を封鎖したということもあり、いつもの賑わいは影を潜めているが、地元の漁師が漁を終えたのか忙しなく走り回っている。非番の午後、寒さの中にもどこか穏やかさがある。冷たい潮の香りが漂い、港の木造の波止場には丸い小舟がポツポツと揺れていた。
 助世富は佐州の町に来た時のことを思い出していた。杖部利の屋敷で療養した後、この町の夫婦に引き取られたこと。それからは漁師の手伝いをして、道場に通い、罪人であることを忘れるくらい平穏に暮らした。今思えば、あの頃から椎坐に守られていたのかもしれない。夫婦は本当の親のように優しく、罪人として差別することもなかった。町や道場では流石に距離を置かれることも多かったが、椎坐が藩主になってからはいつも椎坐が会いに来てくれた。椎坐が側にいると町の人間が驚くほど柔らかい表情を浮かべる。それが自分に向けられたものでもなくても、そこに温かみを感じて安心できたのだ。
 助世富はどこか懐かしい記憶を思い出しながら、島の遠く、雪を冠した山々が淡く霞んでいるのを眺めた。

「なあ、お前、椎坐様の小姓だろ?」

 振り返ると、十歳にも満たない少年が木刀を握って立っていた。肌は霜で赤く、頬には塩っぽい砂が付いている。
「ああ。なんか用か坊主」
「別に。ちょっと聞いてみただけ」
 少年はそう言いながら、助世富の前で手持ち無沙汰に木刀をぷらぷらと揺らした。
「小姓のくせに、なんでこんなところにいるんだ?」
「今日は非番なんだ。いつも一緒にいるから、たまに休めと仰せつかった」
「ふーん。いつも一緒なんだ、いいな……」
 少年は海の向こうを見つめながら、ぽつりと呟いた。その横顔はまっすぐで、少し不器用な色を帯びていた。
「……お前、漁師の子か?」
「うん。あれが親父の船。さっき戻ってきた」
 少年が指を差したのは立派な寒ブリ漁の船だった。助世富は懐かしみながら思わず目を細める。
「大きな船じゃないか。実は俺も、昔は漁師だったんだ」
「え、本当に?」
「ああ。でも色々あって……今は椎坐に仕えている」
「いいなぁ。漁師なんてつまんねぇよ!朝から網引いて、もう手もボロボロだし。お前ら刀で戦ってる方が絶対楽しいじゃん!」
「……それは、少し違うな。血を流すのは、例え慣れたとしても楽なことではない」
「ふーん…… でも、いいじゃん。俺も戦いたい」
 少年は不意に呟いた。海を見つめたまま、顔を助世富から背けている。その声にはどこかに切なさが混じっていた。助世富はその様子に遠い日の己の姿を思い出し、少しの間、何も言わずに空を見上げた。海と空の境が曖昧に溶けていく。

「……お前、椎坐に仕えたいのか?」
「べ、別に!」
「違うのか? 椎坐に伝えてやろうと思ったのに」
「え!本当か!?」
「なんだ、やっぱり仕えたいんじゃないか」
 その言葉に、少年は悔しそうに頬を膨らませた。
「っ当たり前だろ!」
 少年は大きな声を上げる。
「町のみんながそう思ってる!」
 そして誇らしげに、木刀を空に向かって振りかざした。
「……そうか。それじゃ椎坐に伝えておくよ。椎坐の親衛隊になりたい奴がいるって」
「いいのか?」
「ああ」
 杖部利家に親衛隊なんてものはないが、いつか杖部利家がより大きな武家になった時には、そんな組織があってもおかしくはないだろうと助世富は思いを馳せた。
「お前家族は? みんな元気か?」
「うん。父ちゃんと妹がいる!」
「それじゃまずは、みんなを守るんだ。もうすぐ戦が始まる。みんなを守って、生き延びるんだ。そしたらきっと……」
「フン!お前に言われなくたってそのつもりだよ!」
 少年は舌を出して、助世富の肩を木刀で突いた。
「あ!この野郎!やりやがったな!」
「お前こそ!椎坐様に何かあったら許さないからな!」
 少年は顔を真っ赤にして反抗的な声をあげるが、その背中には、どこか嬉しさが滲んでいる。助世富が思わず少年を追いかけると、少年は笑い声を上げて走り回った。静かな冬の渚が、ピカピカと光っている。たくさんの星粒を弾いたみたいに、それは明るく輝いていた。

 
 
 
 

 屋敷に戻ると、庭の石垣の片隅に椎坐の姿があった。まだ雪の残る白い庭先から町並みを眺めながら、静かに風に吹かれている。風が白い息を連れてきては、椎坐の横顔をかすめていった。
「もう戻ったのか。もう少し出ていると思った」
 助世富が声をかけるより早く、椎坐がふいに振り返った。
「んー? まあ、町にいてもさ…… やることがない」
 少し気恥ずかしそうに助世富は笑った。
「戻らない方が良かった?」
「いや」
 椎坐の答えは短い。それでも、その言葉に温度があるのを助世富は感じた。
「何か、手伝うことある?」
「……働き者だな」
「そう見えるだけさ。落ち着かないんだ」
 そう呟く助世富に、椎坐は少し間を置いて、ゆっくりと口を開いた。

「それなら…… 稽古をしてくれないか」

 助世富は驚いたように椎坐の顔を見た。しかし、その表情に冗談の色はなかった。

「……俺が? 椎坐に?」
「ああ。今やもう、お前の方が波紋の扱いに長けている。仮面の武士と渡り合えたのは、お前だけだ」
 淡々と語る椎坐の言葉に、助世富の胸はざわめいた。誇らしさと戸惑いと、どうしようもない焦燥が入り混じる。しかし椎坐は迷いなく庭の隅に立ち、踏み固められた土の上で木刀を手に取った。

「始めるぞ」

 助世富の前に立ち、椎坐は一礼する。助世富もそれに倣い、自然と身体が動いた。木刀を構え、深く呼吸を整える。二人の間に流れる空気が静かに変わる。いつもと同じようで、どこか違う。そこには言葉にできない感情が混ざっていた。
 ひらりと、椎坐の太刀が柔らかく空を裂いた。波紋の呼吸に合わせるように、助世富の刀がそれを受ける。柔らかい冬の光を弾くように木刀が交わり、淡い金色が雪に反射した。乾いた音が雪の庭に小さく響く。目の前の華麗な波紋はたくさんの色を束ねたみたいに深かった。その太刀に助世富は胸の奥が少しだけ痛んだ。

「……やっぱ、椎坐の太刀って綺麗だ」

 ぽつりと呟く。

「何を急に」

 椎坐は淡く返す。

「……でもさ。いつも、ちょっと迷ってただろ」

 椎坐の剣先が、わずかに止まる。

「そう、かもな……」

 椎坐の言葉に、助世富は木刀を下ろし、微かに笑って見せた。

「……俺は守るものが、椎坐だけだから。たぶん、本当にそれだけなんだ。全部を敵に回しても、椎坐だけ守れればそれでいいって思ってた」

 椎坐は黙ったまま、視線を雪の上に落とした。
「小滝の村でさ、俺、椎坐を独り占めにしたくて。村のみんなに嫉妬してた。椎坐が笑ってるのを見て、俺だけを見てほしいって思っちまった…………」
 言葉は思いのほか、するりと口をついた。
「こんな気持ちのまま、俺は刀を握ったんだ。誉なんかありゃしない。椎坐が守りたいものを、俺は守れなかった……」
 助世富は木刀の柄を強く握った。

 二人の間に、しばらく沈黙が落ちる。風が吹き、枯れた竹の葉が擦れあう音が庭を渡る。椎坐は木刀をゆっくりと下ろし、助世富に近づいた。そして、木刀を持つ手に静かに触れた。

「……お前らしいな」

 その指先からじんわりと柔らかな波紋が伝わる。

「……お前は十分にやった。誰も責めてなどいない」
「でも……!」
「お前は、俺を守った」

 風が竹を揺らし、どこかでツグミが鳴いた。

「もう一本だけ、やろう」
 椎坐はそれだけ言うと、もう一度木刀を構えた。少しずつ沈む陽に照らされて、ふたりの影が細長く伸びていく。椎坐が踏み込みと、再び打ち合う木刀の音が庭に響いた。互いの呼吸が重なり、波紋が合わさる。かつて交わしたあの呼吸。繰り返された稽古の中に失われた日々が明滅する。椎坐の太刀はたくさんのものを背負っていた。その重みを真摯に受け止める。椎坐が背負うものを支えたいと、助世富は思った。
「そういえば港に、椎坐に仕えたいって子がいたぞ」
 椎坐は太刀を止め、助世富を見た。
「名は?」
「聞いてない。でもあいつ、俺に似てるからすぐ分かると思うぜ」
 椎坐は少し驚いたように助世富を見つめた後、そっと顔をほころばせた。

「……なら、会ってみたいものだ」
 
 淡い言葉が白い息と共に空へ溶けていく。椎坐の瞳は、助世富の向こう側を見ていた。その甘くて柔らかい眼差しに、胸が張り裂けそうになる。助世富はそこに自分の願いを見つけ、きゅっと固く、唇を噛んだ。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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