Episode 7. Empty cup

 
 
 
 
「今さら出てきたって遅いんだよ、馬鹿……」

 ジョセフはベッドの上で独り言を呟いた。ヨシュアの家に行って以来、ジョセフの悩みは膨れ上がるばかりだった。そろそろ昼過ぎになろうとしている。それでもジョセフは未だに寝室から出ないで一人、物思いに耽っていた。

 目の前には相変わらず色面の絵画が立っていて、ジョセフのことをじっと見下ろしている。一人でいるときだけでなく、最近はニューエイジにいるときもそいつは姿を現すようになった。

「遠ざけるか、いっそ仲良くなるか。お前はどうしたいんだ?」
 ジョセフは独り言のようにそいつに語りかける。しかし相変わらずゆらゆらと色が揺らめくばかりで、何も答えてはくれなかった。

「ジョジョ? そろそろ起きたら?」
 扉の向こうからスージーの声が聞こえる。返事をしないでいると、ノックと共に遠慮がちに扉が開いた。
「起きてたの?」
「ああ…… さっき起きた」
「今週はお仕事大変だったみたいね」
 スージーは心配そうな様子でジョセフを見つめる。
「そろそろお昼にしようと思うんだけど、食べる?」
「ああ、食べるよ。ありがとう」
「すぐ準備するから」
 彼女は陽だまりのような笑顔を向けるとそのまま寝室を出て行った。ジョセフはすぐにでも彼女のもとへ行きたくて、ようやくベッドから立ち上がる。あの笑顔を見るとこの二十年間の日々のありがたさを思い知らされるのだった。ジョセフにとって家族は何よりも大切なもので、それを壊すようなものは絶対に近づけさせない。何があっても家族を守ると心に誓っていた。

 ヨシュアとの出会いは、まさに初恋の人と再会したかのような煌めきがあった。自分の人生が日常へまどろんでいく中で、忘れられない冒険を思い出させるようなわくわくしたものだった。彼と過ごすことでシーザーと果たせなかった約束を果たしていく日々は、神がくれたちょっとしたご褒美だと思ったくらいだ。しかし、胸の奥に仕舞い込んでいたもう一つの思い出は、ヨシュアと過ごす時間が増えるにつれどんどん膨らみ、溢れ、ジョセフが失いたくない日常を壊しかねないほどに真っ黒く侵食し始めていた。
「ジョジョ、もう少し待ってね。今リゾットを作ってるから」
「うん」
 ジョセフがダイニングに入るやいなや、スージーはすぐに気がついた。キッチンから鍋を煮込む美味しそうな音がコトコトと聞こえてくる。ジョセフは彼女を急かしたくなくて、ダイニングチェアではなくリビングのソファに座った。いつもと変わらない清潔な部屋を昼下がりの温かい陽の光が包み込む。幸福そのものに抱かれているような心地にジョセフは身を委ねた。
 ソファの正面にある壁には家族写真を貼るスペースがある。ホリィの誕生日や入学式、家族とイタリアに旅行へ行った時の写真。それからスージー、スピードワゴン、エリナおばあちゃん、そしてリサリサとメッシーナ、スモーキと一緒に撮った集合写真が飾られていた。

 ――――もし、シーザーが生きていたら

 もし、シーザーが生きていたら、シーザーは間違いなくそこに写っていた。その写真は家族写真と同じくらい大事な写真で、世界に語り継がれることのない波紋の戦いを胸に刻むために撮ったものだ。

「ジョジョ、ご飯出来たわよ」 
 その声に曖昧な返事をして、のろのろとソファから立ち上がる。
「どうしたの? ぼーっとしちゃって」
「あの写真」
「え?」
「いや。もしシーザーが生きてたら、俺たちどんな感じだったのかなって思ってさ」
「どうしたの急に。珍しいわね。シーザーの話なんて……」
 スージーは頭の中で段取りを立てているかのようなゆったりとした様子で、盛り付けたリゾットにチーズと胡椒を削っている。
「そうね、きっと私、シーザーと結婚してたと思うわ」
「え、マジ!?」
「冗談よ冗談」
 スージーは花が咲くような笑顔を浮かべた。
「どうなってたんでしょうね。でもきっとシーザーはイタリアに残ってたと思うわ。それで時々、クリスマスの休暇にホリィの顔を見に来るの。きっとそんな感じね」
 スージーは楽しいことを思いついた少女のように明るかった。
「確かに、事あるごとに家に押しかけてきそうだよなアイツ。でも自分が結婚したら俺たちのことなんか知らんぷりだろ、どうせ」
「そんなことないわよ。結婚したって来るわよ。だってシーザー、いつだってジョジョの心配ばかりしてるもの。ちゃんとご飯を食べてるかとか、風呂に入ってるかとか、そんなことまで聞きにくるわ」
「でもスージーがいるんだから、そのへんは心配ないだろ?」
「それでも、きっと来るわ」
 スージーは自信満々な様子だった。彼女がそういう顔をするときは大抵当たる。きっとシーザーは押しかけ女房みたいに事あるごとに家にやって来たに違いない。そんな姿を想像をすると思わず頬が綻んだ。
「そういえば、もうすぐ命日ね。久しぶりにイタリアまでお墓参りでもしようかしら」
「それもそうだな。でもシーザーは…… なんだかすぐ傍にいる気がするんだ」
「フフ、それはきっと、まだジョジョのことが心配なんじゃない?」
「心配される義理なんかねぇよ」
 ジョセフはお節介ばかり焼くシーザーを思い出してため息をついた。
 それからスージーはしばらく黙っていた。おそらく彼女はジョセフの口調に、何かしら不明瞭な響きを感じとっていたのだ。

「ねぇジョジョ。何か悩んでる? 私たちのことで」
 スージーは頃合いを見計らって、端的にジョセフに問いかけた。もう数年はシーザーの話をしていなかったとはいえ、スージーはジョセフの変化に敏感だった。そしてその直感は始めから運命に従っていたと言わんばかりの完璧さがあった。
「私は…… 私やホリィのことで悩んで欲しくなんてないの。いつだってあなたのしたいことをして欲しいって思ってる」
 スージーはある意味ジョセフ以上にジョセフ自身のことをよく理解していた。彼女の言葉はジョセフを高いところから救い上げるみたいに、いつだって的確だった。
「ちゃんとホリィのもとへ戻ってくるなら、私たちのところへ戻って来てくれるなら、ちょっとくらい遠くに行ったって構わないのよ」
「……本当に君は、凄いな……」
「ジョジョがシーザーの話をするときは、何か悩み事があるときって決まってるの」
「そうなのか?」
「そうよ。昔はしょっちゅう話してたわ」
「そうだったかな……」
 その言葉にジョセフは向き合うべき現実を理解した。何があってもホリィとスージーを守ると心に誓ったときからそれは変わらない。シーザーが夢にまで見た “明るい家庭” を作り、絶対に守り抜く。
「……でもさ、もしも、さ。シーザーが今、目の前に現れたら、君だったらどうする?」
 ジョセフは懺悔でもするかのように、一番聞きたかったことをスージーに尋ねた。
「それはもうジョジョを置いてけぼりにした罰を与えるわ。鉄槌よ鉄槌」
 スージーはげん骨を作ってジョセフの前に突き出した。
「スージーの鉄槌は何よりも痛いからなァ……」
「でも、本当にそんなことがあったら、一年くらい二人で旅行でもしてきてもらうわ」
「なんでだよ。旅行するなら皆ですればいいじゃん」
「私は反対よ。想像してごらんなさいよ。もし二十年ぶりに再会したら、シーザーは毎日にジョジョに会いに来るでしょ? そんなことされたら家の中がうるさくて堪らないわ」
「そういうものかなぁ……」
「そういうものよ、きっと」
 実際、毎日ヨシュアに会いに行ってるのは事実であった。
「だから家族旅行なんてもってのほか。あなた達二人で行って来なさい」
 スージーは優しく微笑んだ。
「それで、ジョジョだったらどうするの?」
 その言葉にジョセフはしばし口を噤んだ。

「……色々したいことはあるけど、まずは謝るんじゃないかな」

 一人で行かせてしまったこと。酷いことを言ったこと。全部。

「シーザーは、そんなことして欲しくないと思うわ」
「そうかな?」
「そうよ。自分のことで悔やんでるなんて、誰も嬉しくない」
 彼女は修道女のようにジョセフの心の奥に触れた。後悔の先にある自責の念を癒そうと言わんばかりに彼女は優しかった。彼女の言う通り、後悔したって仕方ないことだとジョセフも分かっていた。それでも、何度も何度も「もしも」を考えてしまう。そして何度も「もしも」を考えるのをやめようと努めた。
「ジョジョ、シーザーは自分のせいであなたが悩んでる姿なんて見たくないと思うの。私だってそう。いつものジョジョが好き。だから……」
「うん。分かってる。分かってるよ。大丈夫」
 ジョセフは精一杯の笑顔をスージーに向けてから、話題をリゾットに移した。それが誤魔化しであることなんて彼女にバレバレだったけれど、スージーはその気遣いに合わせてくれた。もしシーザーが今の自分を見たらきっと説教を始めるに違いない。「なにをうじうじしてるんだスカタン!スージーを悲しませるようなことは許さん!」そんな声が聞こえてきそうだった。

 食事が終わってから、ジョセフはリビングに飾られた写真を眺めていた。そろそろ新しい写真を飾ろうとスージーと話していたのを思い出し、壁に飾られた写真の配置を見直すことにしたのだ。
「この前撮ったクリスマスの写真を飾ろうと思うんだけど、どうかしら?」
「いいね」
 スージーはカードサイズに現像した写真を何枚かジョセフに手渡す。それは先日のクリスマスを切り取った写真だった。
「今年はホリィが凄く喜んでたわ。ジョジョがあんな気の利いたプレゼント買ってくるなんて思わなかったもの」
「これは凄いな! いつの間にこんな写真撮ったんだ?」
 そこにはツリーの前で飛び上がるくらい喜んだホリィの笑顔が焼き付いていた。
「可愛いじゃないか。これにしようよ」
「本当?こっちの三人で写ってるケーキの写真も可愛いらしいわよ」
「いや、これがいいよ。こんなホリィは滅多にお目にかかれない」
 ジョセフは飛び切りの笑顔で喜ぶホリィの写真を新しい額に入れた。

 新しい写真を壁に追加することで少しバランスが悪くなったので、ジョセフは全体のバランスを見ながら配置を変えていった。ひとつひとつの写真を見返すたびに、二十年分の記憶が鮮やかに蘇る。とくにホリィが生まれてからの賑やかさは顕著だった。
 しかしここには、シーザーの写真が一枚もない。一枚でもいいから残っていたらどんなに良かっただろうか。二十年という月日はあっという間なようで、とても大きな時間だった。段々と記憶の中のシーザーが曖昧になって行くのを感じる。でも、いっそ忘れてしまえれば楽かもしれない。
 ジョセフはシーザーとの思い出に長いこと封をしてきた。思い出したら耐えきれなくなりそうで怖かったからだ。そして今、再び開けてしまった封を閉じることを決心する。一番大切なのは家族との未来だ。過去に縛られてはいけない。過去を懐かしむことと、過去に囚われることは違うのだ。シーザーとの思い出に蓋をして、ヨシュアとは普通の友人として接すればいい。そうすれば全て元通りだ。

―――――俺は、ヨシュアがシーザーと偶然似ているだけの人間であっても、生まれ変わりのような人間であっても何も変らない

 そう言ったのは自分ではないか。もしシーザーが目の前に現れたって、もう自分にできることは何もない。それにシーザーだって、今更自分に何を求めるというのだろうか。
 ジョセフはヨシュアと距離を置くことを決意する。すると、あの日の夜、ヨシュアに握られた手の温もりがじんわりとよみがえってきた。それはまるで、今まさに手のひらに触れているかのように鮮明なものだった。ジョセフは思わず手を振り払ってその温もりを揉み消した。

 
 
 
 

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「凄かったですね、今日の劇!」
 ジョセフはヨシュアとオフブロードウェイを観に来ていた。それはタイムズスクエアやミッドタウンにある大型の劇場とは違い、客席が100席ほどの小さな劇場で上映されるミュージカルだ。華やかで商業的な舞台とは違い、小規模だからこそ批評性や芸術性の高い舞台が数多く上映されている。ヨシュアにはまだまだ行きたいところがたくさんあるらしく、暇さえあればジョセフを誘った。ヨシュアの誘いはジョセフのような大人でないと生き難いような特別な場所ではなく、段々と誰とでも入れるような場所になっていった。ヨシュアの目的が共に時間を過ごすことになっていたのは明らかだった。
 
「そろそろ、言わなきゃな……」
 ヨシュアと距離を置こうと心に決めたものの、なかなか言い出すタイミングが見つからない。彼はいつもと変わらない純粋な様子でジョセフの隣で笑っている。その心地よさを前にすると決心なんて呆気なくとろとろに溶けてどこかへ行ってしまうのだ。
「何か言いましたか?」
「いや。なんでもない」
 すぐ隣を歩くヨシュアが怪訝そうな顔で見るので、ジョセフは誤魔化すように曖昧に微笑んだ。演劇を見終わったので解散しても良かったが、いつもヨシュアはバーやレストランに行きたがる。ヨシュアが腕時計を確認しながら辺りを見渡し、手頃な店を探している。腕には見覚えがありすぎる時計が光っており胸がチクリと痛んだ。
「今8時なんですけど、お時間大丈夫ですか?」
 正直なところ、ジョセフは帰りたい気持ちでいっぱいだった。こんな調子でヨシュアと過ごしたらずるずると柔らかな沼に沈み込んでしまいそうだったからだ。しかし今日こそは伝えないと、同じことを何度も繰り返してしまう。ジョセフは「大丈夫だ」と答え、切り出すタイミングを見計らった。ヨシュアはジョセフの腕を引いて、次に行く店へ案内する。その間もカフェで聞いたゴシップや友人の恋愛話などの他愛のない話をして楽しそうだった。いつもだったら彼の話を親身に聞くのだが、今のジョセフの耳にはまるで入ってこなかった。

「それで、シーザーさんとはどんな関係だったんですか?」

 ジョセフは聞き間違えかと思って思わず目を見張る。
「え?」
「あれ、聞いてませんでした?」
「あ、ああ。ちょっとボーっとしてた」
「今日お疲れみたいですね。すみません、付き合わせちゃって……」
「いや、いいんだ」
「それで、シーザーさんの話なんですけど」
 ヨシュアは悪気なく軽快な様子で話を続けようとする。シーザーのことを口にするヨシュアは、鋭利に張りめぐらされた蜘蛛の巣に飛び込んできた羽虫のように愚かに見えた。

「それは、君には関係ない話だ」

「え……?」
「あまりシーザーのことを、人の関係を、詮索しないでくれ。君には関係ない」
 ジョセフは突き放すように言う。
「関係ないって……。そんなこと……」
 ヨシュアは納得いかないといった様子でジョセフに食って掛かる。
「そんなことないですよ! 今まで何度もシーザーさんの話をしてきたのに、なんで急に……」
「前にも言ったと思うけど、ヨシュアはシーザーに似てないよ。ようやく気づいたんだ。今まで勝手に友人を投影してて悪かったと思ってる。だから君にはもうシーザーを求めたりしない、だから……」
「なんで……!なんでそんなこと言うんですか!?」
「君こそなんだよ! なぜ怒るんだい? 俺はただ、君をシーザーではなく一人の友人として見ると言ってるだけだ」
 ヨシュアの青い瞳は怒りを帯びた鮮やかなグリーンに濡れていた。
「そんなの、全然嬉しくないです! あなたは……! 俺からシーザーを取り上げたら、もう俺を見ない」
「何を言って……」
「あなたは、俺だけを見るなんて出来ない。出来ないくせに。”一人の友人として”? 出来ないくせに……!」
 ヨシュアの唇はブルブルと震えていた。
「出来ないから逃げるんでしょ? また蓋をするんでしょ?」
 ジョセフを捉えていたグリーンの瞳がふいと静かに反らされた。それはあからさまに拒絶の色を示していた。

「……ジョースターさんなら、分かると思ったのに…………」

「ヨシュア?」
「もういいです。今日はもう、無理……です。帰ります」
「お、おい……」
「お疲れみたいですし。付き合わせてごめんなさい。ありがとうございました」
 ヨシュアは一度も目を合わせることなく雑踏に向かって走り去って行った。あまりにもあっけない退場にジョセフはヨシュアを追うことが出来なかった。
「でも、これで良かったんだ。きっと……」
 やるべきことはやった。それなのに、ジョセフの心はこの上なくどん底だった。重たい足を引きずるようにして一人地下鉄へ向かう。入り口付近は人で溢れかえっており何やら騒がしい雰囲気だった。行き交う人々の間から「遅延」の言葉が転がり落ちてくる。ニューヨークではよくある話だ。階下のホームに下りると掲示板の前に人だかりができていて、人々の罵声を受けてボロボロになった案内ポスターがあちらこちらに散らばっていた。

 
Service Change
In Effect
❶ service is suspended
2/26/1959
 

「ああ、そういえば明日はシーザーの命日だ」

 その数字の並びに、ふと、記憶が走馬灯のようにフラッシュバックする。

「命日……?」

 それはシーザーと初めて大げんかをした日でもあった。時々彼を怒らせることはあったが、あんな風に怒ったのは初めてで、彼は見たこともないくらい取り乱し、そのまま一人で行ってしまった。

 ジョセフは立ち止まった。
 嫌な予感がする。
 とにかくヨシュアを見つけなければ。

「………ヨシュア!」

 ジョセフは全力疾走でホームを逆走した。駅へ達磨のように転がり押し寄せる人を掻きわけ、ヨシュアが向かった方向に飛び出した。ストリートは赤や青の賑やかな色で溢れかえっている。それが一体何を示す色なのかジョセフにはよく見えなかった。とにかくがむしゃらにヨシュアが帰ったであろう家へ向かって走った。しかしその道中にヨシュアの姿は見当たらない。もう家に着いているのだろうか、それとも違う道で帰ったのか、別の店にでも寄っているのだろうか。ジョセフは迷子になった子どもみたいに、行く当てが分からなくて寂しかった。それでもとにかく走り続けた。

「ヨシュア……! ヨシュアどこにいる!」

 ジョセフの声は空しく宙を舞う。それは誰の耳に届くこともなく街の喧噪に消えていった。大きな運命の前ではただ平伏すことしか出来ないように、この街の前ではただの無力な一匹の蟻粒のようなものだと打ちひしがれた。都市のジャングルは何もない雪山以上に過酷で、途方もないもののように思えた。

「……ヨシュア!…ヨシュア!!……ヨシュア!!」

 ジョセフは叫んだ。何度も何度も。喉が枯れるまで愛しい人の名を呼び続けることしかできなかった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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